はじめに

Homebrewとは、macOSで利用できる代表的なパッケージ管理システムです。Homebrewのリモートリポジトリ(オンライン上にあるソフトウェアの集積場所)から、様々なソフトウェアをbrewコマンドを用いてインストールでき、インストールしたソフトウェアのアップデートやアンインストールなどを一元管理することができます。

Homebrewは様々なソフトウェアを利用することができますが、特にプログラミング環境の構築に利用されることが多いです。例えばPHPやNode.js、Gitなどのインストールや管理にも使われています。
HomebrewはMacでプログラミングする上で重要なツールと言えます。

また、Homebrewは基本的にコマンドラインを用いたソフトウェアの管理システムですが、Homebrew Caskという機能を使えば、グラフィカルなアプリケーションのインストールや管理もHomebrewで可能です。

Homebrewを導入するためにはXcodeのコマンドラインツールが必要です。あまり手順は多くありませんが、簡単な使い方を含めて備忘録としてまとめます。

導入までの手順は以下の通りです。

  1. Xcodeのインストール
  2. Command Line Tools for Xcodeの設定
  3. Homebrewのインストール

Xcode本体をインストールせず、Command Line Toolsのみをインストールする選択肢もあります。それについては後述のXcodeをインストールしない場合からご覧ください。

Xcodeのインストール

まずはApp StoreからXcodeをインストールします。

Xcode - App Store

Command Line Tools for Xcodeの設定

インストールしたらXcodeを起動します。起動後に表示されるウェルカムボードに、インストールされたXcodeのバージョン情報が表示されているのを確認してください。

Xcodeのウェルカムボード

それを踏まえて、画面左上のメニューバーのXcode -> Preferences... -> Locationタブを開くと、Command Line Toolsのバージョン情報が書いてあります。
これがウェルカムボードに記載されていたXcodeのバージョンと同じかどうか確認します。
もし何も書いてない場合、プルダウンメニューから、ウェルカムボードに記載されていたXcodeのバージョンを選択できればOKです。

同じバージョンの選択肢がない場合、Xcodeをアップデートすると選択肢が表示されるかもしれません。

Command Line Toolsの設定

これでXcodeでの作業は終わりです。Xcodeを終了して構いません。

Xcodeをインストールしない場合

Homebrewに必要なのはXcode本体ではなく、Xcodeに付属しているCommand Line Toolsです。
Homebrewを使いたいけどXcodeはインストールしたくないという場合のために、Command Line Toolsのみをインストールできます。

ターミナルを開き、下記コマンドを実行します。

$ xcode-select --install

ポップアップウィンドウが表示された場合、インストールをクリックします。

インストール後、下記のxcodebuild -versionコマンドでバージョン情報が表示されればインストール成功です。
以降Homebrewのインストールへ続きます。

$ xcodebuild -version
Xcode 10.1
Build version 10B61

Homebrewのインストール

ターミナルを開きます。
下記リンクのHomebrewの公式サイトへアクセスします。トップページのインストール欄に書いてあるスクリプトをコピーして、ターミナル上に貼り付けて実行します。するとインストールが始まります。
インストール用のスクリプトは変更される可能性がありますので、必ず公式サイトから取得するようにしてください。

Homebrew — macOS 用パッケージマネージャー

Homebrew Screen shot

インストール途中、Press RETURN to Continue or any other key to abortと表示されるので、Returnキーを押します。
Passwordを求められた場合は、お使いのmacのログイン用のパスワードを記入します。

インストールできたかどうかをbrew -vコマンドで確認します。
下記のようにバージョン情報が表示されれば、無事インストール完了です。

$ brew -v
Homebrew 1.5.4
Homebrew/homebrew-core (git revision e9cc; last commit 2018-02-16)

Homebrewの使い方

パッケージのインストール

Homebrewでパッケージをインストールするには、brew installコマンドを使います。
brew installのあとに、インストールしたいパッケージ名を記述します。

$ brew install パッケージ名

例として、PostgreSQLをインストールする場合は下記になります。

$ brew install postgresql

Homebrewでは、パッケージのことをFormulaeと呼びます。
インストール可能なFormulaeのリストは公式サイトに掲載されています。

Homebrew Formulae

パッケージのアンインストール

パッケージをアンインストールするには、brew uninstallコマンドを使用します。

$ brew uninstall パッケージ名

アップデート、アップグレード

Homebrewのアップデート、アップグレードを行います。

$ brew update
$ brew upgrade

brew updateコマンドは、Homebrew本体の更新と、インストールしたパッケージの最新情報の取得(更新はしない)を行います。
brew upgradeコマンドは、インストールしたパッケージの更新を行います。

下記のように、パッケージ名を指定して、パッケージごとに更新することもできます。

$ brew upgrade postgresql

Homebrew Doctor

brew doctorという、Homebrewの問題をチェックしてくれるコマンドがあります。
これを実行して、Your system is ready to brew.と表示されれば、問題なく使用可能という状態です。

$ brew doctor
Your system is ready to brew.

brew docotorコマンドを実行後、何らかのエラーメッセージが表示された場合、大抵はアップデートやアップグレードで解消しますが、それでもエラーが表示される場合は、エラーメッセージを手がかりに対応していきます。

インストールしたパッケージのリストの表示

brew listコマンドで、インストールしたパッケージ一覧を表示できます。

$ brew list

パッケージの情報を見る

brew infoコマンドで、パッケージの情報を見ることができます。

$ brew info パッケージ名

以下の例では、WebサーバのApacheの情報を見ることができます。

$ brew info httpd

httpd: stable 2.4.43 (bottled)
Apache HTTP server
https://httpd.apache.org/
Not installed
From: https://github.com/Homebrew/homebrew-core/blob/master/Formula/httpd.rb
==> Dependencies
Required: apr ✔, apr-util ✔, brotli ✔, nghttp2 ✔, openssl@1.1 ✔, pcre ✔
==> Caveats
DocumentRoot is /usr/local/var/www.

The default ports have been set in /usr/local/etc/httpd/httpd.conf to 8080 and in
/usr/local/etc/httpd/extra/httpd-ssl.conf to 8443 so that httpd can run without sudo.

To have launchd start httpd now and restart at login:
  brew services start httpd
Or, if you don't want/need a background service you can just run:
  apachectl start

サービスの開始

Homebrewでインストールしたパッケージの中には、Macのバックグラウンドサービスとして実行できるものがあります。
サービスを起動させるにはbrew services startコマンドを使用します。

$ brew services start パッケージ名

下記の例では、先ほどインストールしたPostgreSQLのサービスを起動させます。

$ brew services start postgresql

サービスの停止

サービスを停止させる場合は、brew services stopコマンドを使用します。

例では、先ほどインストールし起動させたPostgreSQLサーバを停止させます。

$ brew services stop postgresql

サービスの状況確認

brew services listコマンドで、サービスの状況を確認できます。
下記の例では、phpは起動しており、PostgreSQLサーバは停止していることがわかります。

$ brew services list
Name       Status  User    Plist
php@7.2    started ユーザ名 /Users/ユーザ名/Library/LaunchAgents/homebrew.mxcl.php@7.2.plist
postgresql stopped

ヘルプ

brew helpbrew commandsといったコマンドで、他にどんな機能があるか表示することができます。
詳しい使い方は公式サイトをご確認ください。

Homebrew — macOS 用パッケージマネージャー

Homebrew Taps

Homebrew Tapsは、Homebrewの公式リポジトリ以外のパッケージをFormulaeとしてインストールできる機能です。

$ brew tap 追加するリポジトリのユーザ名/追加するリポジトリ

brew tapコマンドでリポジトリを追加できたら、Homebrewのパッケージのように利用できます。
パッケージをインストールする場合は、通常のパッケージのようにbrew installコマンドでできます。

何のリポジトリを追加したかは、そのままbrew tapコマンドを実行すればリスト表示されます。

詳しくは公式サイトのドキュメントをご覧ください。

Homebrew Taps

Homebrew Cask

2021年2月にCaskのインストール方法が変更になったようです。

Homebrewは基本的にCLI(コマンドラインインターフェース)を用いたソフトウェアの管理システムですが、GUI(グラフィカルユーザインターフェース)アプリもHomebrewからインストールや管理のできる機能があります。それがHomebrew Caskです。

例えば、Google Chrome、Atom、SlackといったアプリもHomebrew Caskから利用できます。

下記のコマンドで、テキストエディタのAtomをインストールできます。

$ brew install atom --cask

詳しくは公式のGithubページをご覧ください。

Homebrew Cask